たとえば、プレーヤを中心としたシステムは構築可能だろうか。
亭主はデジタル世代(古い)なのでプレーヤといえばCDPを指す。つまりCDPをイの一番に決定し、次にアンプ、次にスピーカと出口に向かってシステムを決めていくというのは、果たしてアリなのだろうか。
たとえば、浪人時代に予備校の寮に入っていた1987年、二つ隣の部屋のT君(高校の同級で今でも年賀状をやり取りしている)は、寮室にSONYのCDP-35だかCDP-55だか、そのあたりを持ち込んでヘッドフォンで聴いていた。オーディオのような強音機器は一切禁止の寮で、CDP+ヘッドフォンという組み合わせは唯一「オーディオ」として許されたシステムだったのだろう。1987年といえばCDがメディアとして巷に普及し始めた頃で、レコード店(そうレコード店だ)にもLPとミュージックテープ、それにCDが当たり前のように併売されていた。T君のプレーヤを聴かせてもらったことがあったかどうかよく覚えていないが、当時ラジカセを使っていた亭主、かなり羨ましかったことは覚えている。
就職して、会社の近くにあるCD/オーディオの店(そうCDの店だ)によく行っていた頃、オーディオコーナーの店長に「こんなシステムもありますよ」と紹介されたのが
- SPK : Acustik-Lab Bolero Piccolo
- AMP : Aura British Stingray
- CDP : Sony Discman D-50
だった。「DC電源を使用したコンパクトCDプレーヤは音がいい」という主張はつい最近まであった(現在もあるのだろう)が、この時そんな主張があったかどうかよく覚えていない(そんなんばっかし)。ただ、SonyのコンパクトCDプレーヤ第1号機D-50は音質的にもかなりこだわったモデルで、まだまだ集積度の低い筐体は重量感・安定感があって、なかなか軽快な音を聴かせてくれていた。スピーカがBolero Piccoloというのもまた気が利いている。D-50のメカメカしさと、Auraの未来的なデザインの組み合わせも秀逸だった。D-50だけは店長の私物だったのでこのシステムとしては結局販売されなかった。ただ、Bolero PiccoloもAuraもほどなく売れていき、亭主がこのシステムで音楽を楽しむ時間はほとんどなかった。
D-50を中心としたシステムが気になっていた亭主、SONYのPC用小型スピーカSRS-Z1を買った際、デザインと色味がよく似たSONY D-EJ1000を購入し、SRS-Z1のアンプ部分に乗せてベッドサイドで聴いていたことがある。ただ、これはどちらかといえばSRS-Z1に重きを置いたシステムで、小口径のスピーカから放たれる銃弾のような中高域、バスレフから出るマッシブな低域が気に入っていた。この二つはひょんなことから弟に譲ったが、今でも使っているだろうか。SRS-Z1はいつか中古などで買い直したいと思っている。
D-EJ1000のほかにも、PanasonicのコンパクトCDプレーヤSL-S30(発売を待って秋葉原に買いに行った)を所有していて、SL-S30+SRS-Z1という組み合わせも試したことがある。ただ、SL-S30はピックアップのシーク音やディスクの回転音がかなりうるさく、音楽を聴いていて興がそがれることが度々あった。D-50はシーク音がほとんど気にならなかった。自宅でいろいろ試していて、さすがSONYと感心したことが思い出される。
少し前の話になるが、ハードオフのジャンクコーナーにAmadana MusicのコンパクトCDプレーヤ"C.C.C.D.P"が置かれていて、そのデザインが気に入って一も二もなく購入している。Amadana MusicはAmadanaというソリューション・ベンチャーがユニバーサルミュージックと共同で立ち上げた音楽ブランドで、C.C.C.D.Pはこのブランドからのプロダクト第3弾、2018年10月にクラウドファンディングによって製作されたものだそう。
電源がUSB TypeCだったり、デジタル出力が光のみだったりとクセはあるものの、マイルドな出音はデジタル世代にとってはかつてのCD全盛時を思い出させる、まったりできるサウンドに仕上がっている。
当初は光出力でDenonのデジタルアンプPMA-60-SPにつなげていたのだが、ディスクが回り始めるとなぜか「ボツッ」というポップノイズが出た。電源を付けたり、消したりしても出るので、電源系になんらか弱い部分があるのかもしれない。個体特有か、経年劣化なのかはよくわからないが、この組み合わせはオススメしない。それにPMA-60-SPはUSB-DACとしてPC-iTunesから音楽を再生していたり、OnkyoのカセットデッキK-522MがつながっていたりとC.C.C.D.Pをシンプルに、スタイリッシュに使うには適していない。
なんといってもオススメは、ヘッドフォンで聴くこと。亭主は現在、
- Amadana Music C.C.C.D.P.
- AKG K-501
の組み合わせで楽しんでいる。置き場所はCDを積み重ねている衣装ケース(31ケースある)の上。ケースの中からCDをとっかえひっかえ取り出しては試聴する、もちろん立って聴いている。まさにレコ屋気分である。
なんとなくNakamichiの業務用CDチェンジャーを思い出し検索したところ、Amazonに中古整備品が売られているのを発見した。これもまたご自宅でレコ屋気分を味わうにはぴったりの製品である。
プレーヤを中心としたシステム、ありだな、アリ。
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