リニア中央新幹線の話題が盛り上がっている。
品川と名古屋を約40分で結ぶという、ある意味「ワープ航法」な移動速度に加え、停車駅が各県1駅づつと最小限だったり、インターネットでしかチケットが買えなかったり、地下40メートルに駅を建設したり、路線の約86%がトンネルだったり―――と新幹線や在来線の延長ではなかなか思いつかない斬新なアイデアが盛り込まれていて、個人的にはかなり面白い試みだとおもっている。ビジネス向けを想定しているのは、在来線との接続のよさや都市の発展計画といった部分を一切切り捨てた結果なのだろう。相模原や甲府あたりは、それでも「都市」であるし、在来線とのアクセスもそれなりに確保されている。ところが長野県唯一の駅である飯田ともなると、在来線である飯田線の不便さ、他の地方都市とのアクセスの悪さが際立ち、交通網の体をなしていない。しいて交通網を挙げるとするならば、地元に根付いた車文化と、中央高速を挙げればよいか。住民たちは飯田線を利用せず、リニアの駅の周辺まで車を利用し、近隣に駐車し、東京や名古屋で用事を済ませたあとは、リニアの駅からさっさと車で帰宅する。これでは街の発展は望めそうにない。なにしろ何にもない街なのだ。
飯田も、その昔はそれなりに県南部の中核都市として栄えていて、小さいながらも動物園があったり、映画館を含めた大きな商店街があったりもした。亭主は高校卒業まで伊那と飯田のちょうど真ん中あたりに住んでいたので飯田にもちょくちょく行っていたのだが、飯田駅を中心とした歴史ある町並みに「品格」を感じそれなりに憧れを感じていたものだ。今、飯田駅前がどうなっているのかはわからない。ただ、郊外への大型店舗の相次ぐ出店と、対照的にどんどん本数が削られていく飯田線のダイヤをみていると、リニアが地域振興のカンフル剤となる可能性は低いようにおもわれる。もちろん地方にはこれからどんどん発展して欲しいから、これから様々なアイデアが生まれることに期待しているのだけれど。
父親と、飯田の映画館に「サイボーグ009超銀河伝説」を見に行ったり、「伝説巨神イデオン・接触篇」のLPを買ってもらったり、正月にウォッチマンというディスカウントショップに行き福袋を並んで買ったり、飯田のユニーで電子ブロックの追加パーツを買ったりと思い出は多い。
ただ、いまひとつパッとしないというか、自分でもネタとして展開するにはあまりにもマイナーネタばかりで、亭主自身これらをどう料理したものかわからない。
そういうマイナーさが飯田なのだというよりも、亭主自身がマイナーを好む人間だったとしたいいようがなく、町おこしよりも自分起こしが先だろという話もあるが、これはまた別の機会。
ともかくも、リニアが通ったら、東京・品川と飯田市の間の移動時間は30分足らずとなる。
それならば現行の中央高速バスを、飯田市を中心とした高速&路線バスに再編したほうが、もしかしたら飯田市の発展に貢献するかもしれない。飯田を観光都市とするよりも、品川や名古屋へのアクセスのためのサービスエリア的な都市、物流や製造業の拠点としての都市として発展するほうがメがあるのかもしれない。
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