中学生の頃だったか、父親につれられ埼玉の長瀞に蜂の巣をとりに行ったことがあります。
亭主の実家のある地方では蜂の巣を取ることを「スガレ追い」といいましてクロスズメバチの巣(だと記憶しています)を探し出しては巣からハチノコや成虫になるまえの幼虫をとって、寒露煮にして食べるのです。
スガレ追いの方法は至極簡単。現地で蛙を調達し(鶏のささ身でもよい)、皮を剥いて肉を木の枝などに刺しておきます。しばらくするとスガレが来ますので、肉に夢中のスガレの足に、そっと白い綿(脱脂綿などでよい)で作ったこよりをくっつけます。スガレが飛び立ったら、白い綿を追ってひたすら巣の方向へ。
スガレの巣は地面の中にありますから、入り口を見つけたら煙幕などを巣の中に突っ込み、いぶします。スガレの動きがにぶくなったら、そのまま入り口を掘り返し、蜂の巣もろともビニール袋に突っ込み、ミッションコンプリート。あとは家に戻ってハチノコをとって甘露煮に。
亭主の実家のあたりではイナゴのほか、ハチノコ、ザザムシなどを食べる習慣がありまして、世間様からはずいぶん奇異の目で見られるわけですけれども、ハチノコは滋養強壮、栄養補給に効果がありまして、甘露煮にすれば非常に美味しく食べられます。体験したことの無い人はぜひ体験していただきたいなあと思うしだい。
ザザムシは、知りません。
--
そうそう、今回はスガレ追いの話ではありません。
スガレ追いのため、父親のワゴン車で中央自動車道を走っていたときが、亭主の始めての本格的な飲酒でした。
土曜日深夜3時過ぎ、のどが渇いていたのですが、日帰りの埼玉行きに道を急いでいた父親、亭主にサントリーレッドの小瓶を渡して「これでも飲んでろ」と。父親にしては冗談のつもりだったのでしょうが、言われるがままにレッドを口にした亭主、高速道路のオレンジ色のナトリウムランプを眺めながら、ウイスキーの甘い香りと強烈なアルコールに朦朧としていました。以降ナトリウムランプのオレンジ色は、亭主の心象風景にしっかりと焼き付けられ、亭主の最も好きな色、郷愁を誘う色となっています。
初めて本格的に飲むレッドの味は・・・正直、おいしかったです(^^*)
以来、スコッチやバーボン、ウイスキー一般は亭主の大好物となりました。浪人生の頃、大晦日に友人の部屋で飲んだのも、また大学に入り、同期が寮に訪ねてくれたときに用意したのもウイスキー。
亭主にとってウイスキーは子供の頃からの長い付き合い。日本酒よりもワインよりも、ずっと身近なアルコール。今もウイスキーはお酒の中で一番好きだったりします。
そうそう、高速道路を行く車内からは、ジャン・クロード・ボレリーのトランペット、それに深夜のラジオ放送が流れていて、酔った頭にとても心地よかったのを覚えています。深夜ラジオは、たしかTBSラジオ深夜3:00から5:00までの「パノラマワイド・よーいドン」という番組。当時は高橋進さんと泰葉さんがDJでした。泰葉さんの"Flyday Chinatown"というデビュー曲がよくかかっていたっけ。番組中のコーナーに、「野田秀樹の三時のあなたにあいましょう」というコーナーがあって、以降毎週エアチェックしていました。
野田秀樹さんの戯曲・小説を読み始めたのは、これがきっかけだったかな。
音楽、小説、ラジオ、お酒・・・今につながる様々な趣味趣向の基点・起点となった、長瀞行きでありました。
コメント