ONKYOのIntec 275シリーズを持っていたことがある。
ピュアオーディオの音質を意識した、高級志向のミニミニコン。当時はハイコンポなどと呼ばれていた。
ミニコンやミニミニコンが、アンプやプレーヤ、チューナなどを専用ケーブルで接続しシステム化を図っていたのに対し、ハイコンポはピュアオーディオと同じく機器をオーディオケーブルで接続していた。また、アンプやチューナー、CDプレーヤなどの機器が同一サイズでシリーズ化されていて、ユーザはそれらの機器を選ぶことにより好みのシステムへと仕上げることができた。
もっぱらCDしか聴かなかった当時の亭主は、CDプレーヤにC-722M(40,000円)、アンプにA-922M(53,000円)、スピーカにD-202AII(64,000円)を選んだ。店頭での試聴で、他社のハイコンポに比べてもっとも快活に鳴っていたからだ。自宅に帰り、早速音を出して、ミニミニコン(Pioneer Selfie A30)からのあまりの音質向上に感激した。
自らのCDライブラリを片端から再生しては有頂天になっていた。オーディオ雑誌を買い込み、スピーカのセッティングに精を出し始めたのもこの頃からだ。
ただ、セッティングに凝り始めると、システムの限界もまた徐々に知れてくる。
最初に限界を感じたのはスピーカだった。スタンドを買ったり、スピーカケーブルを交換したり、また部屋の中への置き方を工夫したが、高域・低域双方のヌケの悪さは致命的だった。他のエントリに書いたが電気店に赴きJBLのA820 Veccioを購入したのはD-202AIIの音質に限界を感じたからに他ならない。
その後CDプレーヤはDenon DCD-1650ARに、アンプはDenon PMA-2000IIに交換して本格的にオーディオにのめりこみ始めることになる。
オーディオという趣味を続けるコツは、こういう買い替えによって常にシステムのどこかに不満を感じることかもしれない。D-202AIIというスピーカに満足していたならば、今のようにオーディオにどっぷりはまるようなことは無かったはずだからだ。Veccioを購入してからもD-202AIIはしばらく所有していて、時々梱包を解いてはシステムにつないでいた。ただ、つないで音を出すたびにがっかりし、スピーカを梱包していたことを覚えている。
64,000円という値段なりの音だったのかもしれない。それにしてもなぜあんなヌケの悪いスピーカが製品化されていたのだろうと、いまだに不思議に思っている。
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