高校を卒業して、松本の予備校の寮に入ったのが、亭主の一人暮らしの「最初の一歩」だったりします。
もっとも、最初は高校の友人たちが同じ並びの寮部屋にいまして、まるで修学旅行気分というか、非常に楽しい寮生活でした。夜遅くまで語り合ったり、音楽を聴いたり、未成年ですが夜中に酒盛りをしたり。好きな女の子の話をしたり、ときにはケンカもしたりして、しかしそのたびに皆仲良くなっていきました。
いやあ、青春でした。
寮の部屋は、寝返りを打てば壁にぶつかるくらいの長細い部屋、おそらく3畳もないまさに「勉強と寝ることしかできない」部屋でした。当然ながら荷物も、勉強道具と、衣類と、ラジカセ程度。しかしそんな何もない、ゼロからのスタートがかえって身軽で、気楽でした。何もなかった(というか持ち物の数が少なかった)ことから管理も楽でしたね。それに比べて今はといえば、なんだか要らないものが多すぎます。
何もなくても楽しかったのは、おそらくド田舎で生まれ育った亭主が、松本という地方都市の(それなりに洗練された)文化に触れ、なにもかもが新鮮に感じられた(レコード店や書店やゲームセンターを良く巡りました)ことと、気の合う友人たちと一緒にすごせたからなのでしょう。お金なんかなくても充分に楽しかった。
お金なんていくらあっても、退屈だったり一人だったりしたら、楽しくないよね。
独身時代、何かにとり憑かれたようにラーメンを食べ、中古店を渡り歩いていたのは、退屈で、孤独だったからかもしれませんね。
うん。きっとそうに違いない。今はすっごく楽しいですよ。
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